古来から日本では、山や森、樹木に神さまが宿るとされ、御神木(ごしんぼく)としてお祀りされている例があります。 これと同様に、動物にも神さまとの関わりを認めてきました。 動物に対する信仰は、やがて特定の動物を特定の神さまの、その神意を伝える使い(使者)とする信仰へと展開していきました。 これらの動物の代表ともいえるのが、お稲荷さんの狐です。 稲荷神社の御祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)(倉稲魂神)で、「宇迦」とは食(うけ)の意味であり、食糧をつかさどり、稲の成育を守る神さまです。 狐が稲荷神社の使いとされた理由としては、御祭神の別名である御饌津神(みけつかみ)のその文字に、狐(ケツネ=キツネの古語)を使い三狐神(みけつかみ)と記したことによるといわれていますが、これについては諸説があります。 いずれにしても狐という動物は、私たちの先祖が、その生活の中で接ことの多かった親しい動物でもあり、おのずと稲荷神社の「使い」としての信仰が定まったのでしょう。 狐=お稲荷さんということではありません。