「随神」は、ご社殿や神社社地などを守る神さまをさします。 その神さまは、随神門などに安置されていて、矢大神(やだいしん)・左大神(さだいしん)という俗称で呼ばれることもあります。 左右二神共、弓と矢を携え剣を帯びていますが、これはその昔、武装して貴人の護衛にあたった近衛府(このえふ)の舎人(とねり)の姿で、彼らは「随身(ずいしん)」と呼ばれていました。 その随身が転じて、主神に従い守護するという意味で随神となったのでしょう。 『徒然草』の中に「ただ人も、舎人(随身)など賜はるきはは、ゆゆしと見ゆ」と書かれていることからも、この随身を賜わることは兵杖(ひょうじょう)を賜わるともいい、武人にとってはこのうえもない誉れ(ほまれ)であったことがわかります。 先年行われた大嘗祭(だいじょうさい)や即位の礼においても、弓と太刀を携えて束帯(そくたい)に身を固めた姿をした人が、守衛にあたっていたことは記憶に新しいことと思います。