現在、神社以外にホテルなどでも特設の神殿を設けて、「神前結婚式」を行う所が多く見られますが、神前結婚式の歴史は、そう古いものではなく、普及し始めたのは明治以後のことです。 その契機となったのは、明治33年5月、当時皇太子であられた大正天皇と九条節子妃(貞明皇后)との御成婚でした。 その御成婚の儀は、宮中の賢所(かしこどころ)(皇祖天照大御神(あまてらすおおみかみ)をお祀りする御殿)で初めて行われたことから、東京大神宮ではそれにあやかり、神前において一般人の結婚式を執り行いました。 これが世間の注目を集め、そして各地に普及していき、今日のように盛況を呈するようになったのでした。 神前結婚式が、このように普及する以前の結婚式というのは、各家庭の床の間のある座敷に、親族縁者が集まって行われていましたが、この場合は結婚式というよりも、むしろ結婚披露という意味合いが強く、この披露を済ませたのちに神社に奉告していたようです。