神道は祖先を崇敬する信仰が基になっています。 氏族の始祖を氏神(うじがみ)として崇敬し、祖先を自分たちの守り神として崇敬します。 このように人は死後、家族や親族を見守る霊となって祖先神の仲間入りをすると考えられます。 この、人と神の連続性は、神道の大きな特徴と言えます。 江戸時代の豊受大神宮(とようけだいじんぐう)の祠官であった、中西直方は『死道百首』の中で、「日の本に生まれ出にし益人(ますびと)は神より出でて神に入るなり」と詠んでいます。 これは、祖先の神々から出たものは、やがて一生を終えると祖先の神々の所へ帰っていくのだという意味であり、この歌は実に明確に日本人の死生観を表しています。 つまり、日本人の生命は、祖先から自分へ、自分から子孫へと永遠に「血」と「心」の連続を形成するのです。 いいかえれば、これは霊魂の不滅、霊魂の引き継ぎともいえるでしょう。 そして、私ども日本人の「霊」は、仏教でいうような十万億土にいくのではなく、わが家、わが郷土、わが国に留まって、祖神と共に子孫の繁栄を見守り、子孫からのお祭りを受けるのです。